ボクシングの見方④ —「強さ」と「上手さ」の違いって何?その2—

前回はボクシングにおける「強さ」について解説しました。今回は「上手さ(テクニック)」について解説していきたいと思います。

ボクシングの上手さが分かると、その選手の凄さが分かります!

目次

上手さ(テクニック)とは「技の連なり」

前回、ボクシングの上手さとは、「ボクシングに特化した頭脳」であるというお話をしましたが、この言葉だと具体的にどういう意味や動きなのかがよく分かりません。テクニカルな動作というのは当然、複雑な動きをするものです。その複雑な動きを考えやすくするために、「技」という言葉を用いて解説します。

ボクシングにおける「技」とは「ボクシングに特化した(さまざまな)動き」のことです。この動きを大きく分けると、

攻撃(ジャブ、ストレートなど):相手からポイントを取る動作

防御(ブロッキング、ダッキングなど):ポイントを守る動作

牽制(フェイントやプレッシャーを掛けるなど):ポイントを取りやすくしたり、守りやすくする中継ぎの動作

という3つのグループに分けることができます。

「複雑な動作」というのは「技のグループが多く連なっている」といえます。具体的には「攻撃」「防御」「牽制」が多く連なる一連の動きがテクニカルな動き(闘い方)ということです。

具体的にこの連なりとは、どのような意味を持つのでしょうか?

「攻撃」「防御」「牽制」の連なりの意味

「攻撃(=攻)」「防御(=防)」「牽制(=牽)」が連なった動きの意味

「攻」➡「防」:パンチの打ち終わりに防御の動作をする。【意味】打ち終わりは隙が出来やすいためしっかりとフォローの動きをする。

「防」➡「攻」:ディフェンスの直後に反撃をする。【意味】上記の通り相手の打ち終わりの隙を狙う動作。

「攻」➡「攻」:パンチがヒットした直後さらに攻撃を加える動き。【意味】パンチがヒットしてひるんだところに追撃する動作。

「攻」➡「防」➡「攻」:打ち終わりにかわした直後また打ち返す動き。【意味】打ち終わりを狙われているときの反撃の動作。

「牽」➡「攻」:フェイントから攻撃に移る動作。【意味】フェイントで相手の注意をそらし隙を作って攻撃する。牽制がみられるとハイレベルなボクシングになってくる。

「牽」➡「防」➡「攻」:相手から攻撃を誘い、打ってきたところを防いでから打つ動作。【意味】所謂カウンター。高等技術です。

※「  」<「  」<「  」の順にレベルが上がる

というように技が連なると意味が読み取れたりしまふ。この他にも、トップクラスの試合ではもっと技が連なる(=高等なテクニック)瞬間が見られたりしますので、皆さんも探してみてください。ちなみに私の場合、3つ以上の技の連なりになると、もう追い付かないのであれっ?と思ったらスローで再生して確認しています。

テクニックを見るときのポイント

ボクシングはパンチとディフェンス、それを補う動きが無数に行き交うため、余りに一つ一つの動作に注力してしまうと当然間に合わなくなってしまいます。そこで、見るポイントをご提案します!

〇まずは、選手の動作が「攻撃」か「防御」か「牽制」かを区別してみる。

複雑に見えるボクシングの動きも、大きく分けてしまえばこの3つの「意味を持った」動きです。これを正確に区別することがテクニックの意味を知る上で最も基本になります。

〇攻防一体であるか(打ち終わりに防御しているか、防御の後打ち返しているか)

上の「技の連なり」の①と②に当たり、闘う上でとても基本になります。これが出来ると出来ないとは、プロと素人を分ける一つの基準のようなものではないかと思います。選手の動きが、攻撃または防御一辺倒になっていないか、「攻撃」「防御」の終わりの動きに注目してみてください。

まとめ

今回はボクシングの上手さについて解説しました。「技の連なり」には意味(=狙い)が込められていて、それこそが「ボクシングに特化した頭脳(が優れている)」というお話でした。

「ボクシングに特化した頭脳」は「どんな意味があるのか」というだけでなく、「どんな狙いがあるのか」「何がしたいのか」といったことを、技の連なりから読み解く事ができる様になれぼ、面白さは無限に広がると思います。

皆さんが、試合に秘められた選手の強さとテクニックを読み解く参考にしていただけたらと思います。

ボクシングの強さと上手さの違いはご理解いただけましたでしょうか?

ボクシングにおける強さとは、ボクシングの「技を習得した肉体」であり、上手さとは「技の連なりに秘められた考えや狙い」ということでした。肉体派のボクサーと技巧派のボクサーの激突というのは白熱を生むものです。皆さんの中で、「この選手は肉体派なのか、技巧派なのか」を見分けることができると、より面白くなると思います。

また、ボクシングをもっと楽しめる見方を解説できたらと思います。

ではまた!

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