今回はよくボクシングのニュースでも話題になるPFP(パウンドフォーパウンド)について解説します。
PFP(パウンドフォーパウンド)とは
PFPとは、簡単に言うと「ボクシング最強ランキング」のことです。
え?ボクシングって、世界ランキングとか日本ランキングがあるんじゃないの?何が違うの?と思われる方もいると思います。なぜ世界ランキングや日本ランキングとは別に、PFPというランキングが存在するのでしょうか?
PFPが存在する理由
皆さんは現在最強のボクサーが誰かご存じでしょうか?つい先日まで日本の井上尚弥選手が最強と言われていましたが、現在はウシク選手が最強の評価を得ています。
この、「最強という評価」と「最強という称号」が乖離してしまっているというのがPFPが作られた理由の一つであると思われます。
それはどういう事かというと、
ボクシングにおける「最強の称号」とは「チャンピオン」です。しかし、現在のボクシング界ではチャンピオンが乱立してしまっているため「チャンピオンが何人もいて一体だれが本当に最強なの?」と観戦する側が混乱してしまい、「チャンピオン=最強」がいまいちピンとこない、ということが起きてしまっているのです。
では、チャンピオンはなぜ乱立するのでしょうか?
理由①ボクシングが階級制であることと、認定団体の多さ
・ボクシングの階級
ボクシングの階級は17階級※あり、それぞれに王座が存在します。階級だけ見ても単純に17人のチャンピオンがいることになります。※認定団体により異なる
・認定団体とは
公式のランキングを付けたりチャンピオンを公認する団体ですが、これも国や地域、世界などによりいくつもあります。下記は日本の認定団体と、(その団体が公認する)地域と世界の認定団体です。
・国内(日本ではJBC)
・地域(OPBF、WBOAPなど)※複数の国の集合
・世界 (WBA、WBC、IBF、WBO)
国内、地域では2団体、世界では4団体があります。いわゆる「日本ランキング」や「地域ランキング」「世界ランキング」はこれらの7団体がそれぞれ独自につけているのです。
これらの団体にそれぞれのチャンピオンの枠があります。なおかつ団体により、チャンピオンがけがなどで長期休養した場合は暫定チャンピオンという枠があったり、ある条件を満たしたチャンピオンはそのさらに上のスーパーチャンピオンという枠があったりと、チャンピオンの枠だけ数えても単純計算で100枠以上あることになります。
理由②チャンピオンの興行を増やす狙いがある(と言われています)
単純にチャンピオンの試合数が増えれば、お客さんも増える(興行収入が増える)というわけです。しかしそうなると、当然チャンピオンという威厳が落ちてしまう(見る側が冷めてしまう)という弊害が起きてしまうことになります。
そこで、そのややこしさを分かりやすくするために、議論の上で評価という形で最強を決めましょうというのがPFPなのです。
PFPはだれが決めているの?
PFPは認定団体が決めているのではありません。
では、いったい誰が決めているのでしょうか?
それは「ボクシング雑誌編集社」や「ボクシングサイト運営会社」などが独自の評価基準によって決めています。最も影響があるとされているのが、アメリカのリングマガジン(THE RING)です。ニュースなどでPFP1位はこの人!と、取り上げられるときには大抵リングマガジンのランキングを引用されることが多いです。他にもBoxRecやBoxingScene、ESPNなども独自のランキングをつけています。
PFPにランキングインしたボクサーの評価
PFPにランキング入りしたボクサーは野球でいうメジャーリーガーのような箔が付き、話題性やファイトマネーも跳ね上がります。歴代のPFP1位を獲得したボクサーは、マイクタイソンや、モハメドアリ、フロイドメイウェザーJr、マニーパッキャオなど一般の方でも耳にしたことがあると思います。
また、PFPをチェックしておけば現在のボクシングのトレンドが分かります。彼らの試合はとてもエキサイトして面白い試合ばかりですので、ぜひ見てみてください!
私も「リングマガジンPFP」などと調べて、ランクインした選手をチェックしています。PFPの中に日本人選手の名前があると誇らしいですね。また、BoxRecやBoxingScene、ESPNなどとも比べると、その国の評価の違いが分かったりして面白いと思います。
PFPまとめ
さて、PFPについて解説しました。PFPは、分かるようで分かりにくいボクシングランキングを分かりやすくした「最強ランキング」というお話でした。
ただ、個人的にはやはりチャンピオン=最強であってほしいという想いがあるので、チャンピオン乱立の現代においてもその威厳は守っていってほしいとな思います。
「最強」の選手が私たちに見せてくれるものとは、「まだ見ぬ世界」であり、それを人は「夢」と呼ぶのではないでしょうか。応援する私たちも見る目を鍛えて、彼らと同じ夢を一緒に見ていきたいですね。
ではまた読んでいただけたらうれしいです。