ボクシングでよく聞くこの「タイトルマッチ」とは何なのでしょうか?
タイトルマッチの意味をより深く知ることで、選手がその試合に賭ける想いを知ることができると思います。
そんなタイトルマッチとは何かを解説していきます。
タイトルマッチとは
ボクシングにおけるタイトルマッチとは、挑戦者がチャンピオンに闘いを挑む(チャンピオンが王座を守る)試合のことです。この他に「王座決定戦」というものもありますが、これは王座が空位(チャンピオン不在)の時に、ランキング上位の二人の選手が王座獲得のために闘う試合のことです。どちらも勝てばチャンピオンになるのですが、現役のチャンピオンの有無により「タイトルマッチ」か「王座決定戦」かに分かれます。
では、この試合がどんな意味をもつのでしょうか?
タイトルマッチの見方
↑試合興業のポスター メインは日本フェザー級タイトルマッチ
試合が始まる前によくリングアナウンサーが、「只今より、世界○○級タイトルマッチを行います」と言いますが、これが「タイトルコール」です。そのタイトルの構成は「認定団体」「階級」「クラスorタイトルマッチor王座決定戦」「回戦(ラウンド数)」となり、この試合がどんな意味を持った試合なのかを宣言します。
例えば先日の井上尚弥選手のタイトルマッチは
「WBC・WBA・IBF・WBO(←団体名)スーパーバンタム級(←階級)タイトルマッチ12回戦(←ラウンド数)」
とコールされます。これはどんな意味の試合かというと、
「世界4団体すべての統一王座をかけた12ラウンドの試合を始めます」
となります。どうでしょうか?なんだか凄い試合という感じがしませんか?
そもそもタイトルが無ければ、ただ単に2人の人間が闘ったところで、その勝敗は2人の中で勝った負けたというだけの意味しかありません。
しかし、この戦いにタイトルの宣言によって当事者も観る側も「なぜ闘うのか」という意味が明確になるのです。
また、一般的な「タイトルマッチ」とはチャンピオンに挑戦する試合ですが、広義においては、すべての試合に意味があるわけなので、すべての試合にはタイトルがあるのです。
例えば「バンタム級8回戦 ○○VS××」とか「フライ級6回戦」「ライト級4回戦」など、プロボクシングの試合には○○vs××の名前の上や左右にこういったタイトルが必ず表記されています。そして、このタイトルと彼らの戦績から彼らの闘う意味を読み取ることができます。
例)田中選手vs高熊選手の試合。6回戦(B級)田中選手はアマチュア経験が豊富なためB級からデビュー。いきなり東日本新人王の熊選手との対決!
ではここで、
タイトルを読み取るためには、プロボクシングにおけるボクサーがどのようにランクアップしていくのかを理解する必要があります。
ボクサーのデビューからチャンピオンまでの道のり
ボクサーはC級(4Rを闘う)としてデビューし、C級で4勝するとB級(6Rまでを闘う)、B級で2勝するとA級(8R以上を闘う)へと昇格します。※アマチュアでキャリアのある選手はB級テストで合格すると、B級からデビューできます(が、相当難しいです)
その後A級で勝ち進むとランカー(日本ランキングに入った選手)となり、日本タイトルマッチのチャンスへと近づいていきます。
さら日本チャンピオン(10R闘う)、OPBF/WBOAPチャンピオン(12R闘う)、世界(WBC/WBA/IBF/WBO)チャンピオン(12R闘う)へ頂点へと昇り詰めていきます。デビューから気の遠くなるような長い道のりです。
戦績から読み取られる選手のモチベーション
ボクサーのチャンピオンへの道のりが分かると、戦績から今この選手はどの位置にいるのかが分かります。
戦績に3勝とあればあと1勝でB級に上がれるチャンスがあるとか、5勝であれば同じくA級の一歩手前です。勝ちと負けが同じであれば勝ち越しを目指しているとみて取れます。デビュー戦はもちろんとても緊張していると感じますし、負け越していれば、それでも諦めない何かに注目が行きます。
そう言ったことが分かると、選手一人ひとりの闘う理由に共感がもてるのではないでしょうか。
ボクシングには色々なタイトルがある
プロボクシングは上記のように、日本タイトル、地域タイトル、世界タイトルのほかに、興行によって観客に喜んでもらうような様々なタイトルがあります。
新人王、B級トーナメント、最強後楽園などは、その選手が優勝しときに彼らの未来への躍進が期待できると感じられるタイトルだと思います。
タイトルを知るということで、世界のトップに君臨する日本人ボクサーの凄さを、もっと肌で感じることができるのではないかと思います。
ぜひ、皆さんが観戦する試合が、どんなタイトルなのかも注目して楽しんでいただけたらと思います!