「勇気一つを友にして」が教えてくれるもの

アスリートはなぜ自ら困難な道を選ぶのか、観客はなぜその姿を見ると胸が熱くなるのか。。。

その疑問を答えに導いてくれるのが「勇気一つを友にして」という歌です。

皆さんはこの歌をご存じでしょうか?

私の小学生時代に音楽の授業で習った歌なのですが、今の小学校では歌われているのでしょうかね・・・

30代以上の方はご存じの方も多いかも知れませんが、「昔ギリシャのイカロスは~」という歌い出しで始まる歌です。長年、私はこの歌の中で2つ謎に感じていたことがありました。

歌詞の内容

この歌は、

昔ギリシャのイカロスという人物は、ロウで固められた鳥の羽を持って空高く舞い上がりました。雲よりも高く舞い上がると次第に太陽に近づいていき、太陽の熱によってロウが溶けてしまい、翼を失ったイカロスは落ちて死んでしまいました。しかしその姿を見た民衆は、感動し勇気づけられたました。

といった内容です。

2つの謎

この歌の中で謎に思ったのが、

  • なぜイカロスぜわざわざ危険なところへ行ったのか
  • なぜ(しなくてもいい事をして事故に遭ったひとを見て)民衆は勇気付けられたのか

という点です。

ちょっと冷めた目線かもしれませんが、わざわざ空高く舞い上がったところで何か人の役に立つわけでもないのに、ただ高いところへ行く必要がどこにあるのだろうと、おぼろげながら感じた記憶があります。

大人になってそんなことを思い出した私はその謎を解明したくなりました。

どうしたらいいかと思いめぐらした中で、イカロスの気持ちを知るためには、イカロスの目線に立って想像してみようと思いました(我ながら変わった性格だと思います)。しかし、そこで発見があったのです!

イカロスはなぜわざわざ(しなくてもいい)危険なところへ行ったのか

イカロスの目線に立ってみると、空高く舞い上がった後、おそらく彼は地上を見下ろしたのだと思いました。彼が見た景色はどんなものだったのか。100m上空でも昔であれば想像を超える景色だったのではないでしょうか。500m、1000m高度が上昇するにつれて、さらに彼の想像を超える景色が広がった行ったはずです。(高所恐怖症ではない前提ですが)

イカロスは太陽という危険に近づいていくことも忘れて、ただひたすらにそんな景色を見ようと、高く高く舞い上がっていったのではないでしょうか?その景色見た彼の頭の中には「誰も観たことのない世界」が広がっていったと思うのです。

そうです!「誰も観たことのない世界」。

それを追い求める姿こそ、アスリートの姿そのものでは無いかと思ったのです。アスリートはその🌍を追い求めるものなのです。なぜならその世界を観ることが困難であればあるほど、自分以外の人もその世界を観ることが困難になるからです。そんな誰も観たことがない世界を観たい!と言う人間の本能を体現するかの様な存在がアスリートの姿なのでは無いでしょうか。

なぜ(しなくてもいい)、危険な山に登るのか、100mを10秒以下で走ろうとするのか、逃げ場のないリングの中で殴り合うのか。その他、諸々のスポーツの目指すもの、

すべてこの答えが当てはまります。「誰も観たことのない世界を観るため」

ひとはなぜボクシングをするのか?それはボクシングの中でしか観ることのできない世界を観るためです。

その世界の最高峰、世界タイトルマッチこそ、ボクシングという翼が見せてくれる誰も観たことのない世界、すべてのボクサーが目指す景色なのだと思います。

民衆はなぜ勇気付けられたのか

そしてもう一つの謎、イカロスの姿を見た民衆が勇気付けられたという点ですが、これはスポーツを観戦した観客が感動し勇気をもらうことと同じだと思います。ではなぜ観客はアスリートやスポーツを観て、感動し勇気をもらうのでしょうか?

それもイカロスと同じように観客の目線に立って考えてみました。

ひとは皆、世界最高峰でなくても、そのひとそのひとの毎日の仕事や育児、家事や趣味、様々なものと向き合い頑張って毎日を生きているはずです。それは、観客一人ひとりが、それぞれの「誰も観たことのない世界」を目指して、日々頑張っていることではないでしょうか。頑張っているひとが、頑張っている他の人の姿を見たとき、その人と自分との頑張りが共鳴するのだと思います。死に物狂いで誰も観たことのない世界を観ようとしている、そんな姿を目の当たりにしたとき、自分の日々の努力、苦悩といった感情がよみがえり心が熱くなるのです。そして選手が勝利した瞬間を観たとき=「誰も観たことのない世界を観た人」を観た瞬間、観客もまたその世界のほんの少しを垣間観ることできるのだと思います。

〇「勇気一つを友にして」が教えてくれたもの

「勇気一つを友にして」が教えてくれたもの

最後に、この歌を考察するかでたどり着いた言葉です。

競技をしているアスリートの姿は翼を羽ばたかせるイカロスそのものです。観客は羽を舞い散らしながら空高く昇っていくイカロスの姿を、自分と照らし合わせながら観ることでしょう。アスリートとその姿を観るすべての人が「誰も観たことのない世界を観る」ために。

「勇気一つを友にして」歌詞

昔ギリシャのイカロスは ロウでかためた鳥の羽根 両手に持って飛びたった

雲より高くまだ遠く 勇気一つを友にして

丘はぐんぐん遠ざかり 下にひろがる青い海 両手の羽根をはばたかせ

太陽めざし飛んで行く 勇気一つを友にして

赤く燃えたつ太陽に ロウでかためた鳥の羽根 みるみるとけて舞い散った

翼うばわれイカロスは 堕ちて生命(いのち)を失った

だけどぼくらはイカロスの 鉄の勇気をうけついで 明日へ向かい飛びたった

ぼくらは強く生きて行く 勇気一つを友にして

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