ボクシングの見方⑦ —押さえておきたいルール―

今回はボクシングを見る上で押さえておきたいボクシングのルールについて解説します。

細かなルールはJBCのサイトに記載されていますのでご参考ください。(基礎知識 | Japan Boxing Commission | 一般財団法人日本ボクシングコミッション (jbc.or.jp)

目次

どうやって勝敗が決まるの?

勝敗の決め方は3種類

KO(ノックアウト)

ダウンした際、10カウント以内に立てなかった場合、倒した方の勝利となります。最も分かりやすい勝敗の決まり方です。

TKO(テクニカルノックアウト)

レフェリーが試合続行不可能と判断しストップした場合の勝敗の決まり方です。KOと同等の扱いです。

判定

フルラウンドを闘った場合、判定となり3人のジャッジの内2人以上が支持した選手が勝利します。

KOやTKOは分かりやすい勝敗の決まり方ですが、判定は見る側もどちらが勝っているのか予想できると、ハラハラして楽しむことができると思います。

階級制による闘い方の違い

計量の大切さ

ボクシングは階級制のスポーツです。全17階級あり、選手は各階級で決められた体重まで落として、計量をパスする必要があります。まれに体重超過してしまう選手がいますが、これはボクシングのルールを根底から覆す違反です。計量をパスするために選手は身体と命を削るような想いで体重を仕上げてきます。そのダメージは当然試合にも影響します。計量はその階級の試合を成立させる重要なルールであり、それを違反することはボクシングというスポーツそのものを破壊する行為なのです。

階級により選手の闘い方が変わる

一般的に、階級が重いほうがパンチ力があり、軽量級のほうがスピーディでテクニカルな試合展開が期待されます。重量級の一発当たるとKOなんていうスリリングで迫力のあるパンチや、軽量級の手数が多く白熱した攻防が見られたりと階級により注目するポイントが変わるのも、階級制の面白さではないかと思います。また、日本では軽量級の選手人口の方が重量級に比べて多く、ボクシングのレベルも高い環境にあります。

ラウンド制による試合の流れ

ボクシングは「3分間(ラウンド)闘う「➡「休憩」をクラスにより決まった回数(ラウンド数)繰り返します。そのトータルが試合時間です。ボクサーのクラスが上がると、試合時間は長くなります。

プロボクサーにはデビューからC級➡B級➡A級と勝ち進むにつれてランクアップしていきます。各クラスは試合時間が異なり、試合の展開の仕方が変わます。

クラスによる試合の流れ

C級(4回戦)ボクサー

試合時間が短いので、序盤がかなり重要になります。最初に流れをつかんだ方がかなり勝率が上がるので、勢いや思い切りのある試合展開が重要になります。

B級(6回戦)ボクサー

C級よりは長くなるため、駆け引きも出て来て読みの面白みが増します。

A級(8回戦以上)ボクサー

このクラスのボクサーはベテランボクサーです。高度な駆け引きや高いパフォーマンスに見ごたえを感じると思います。試合も長時間となるため、序盤・中盤・終盤の闘い方も流動的に変化していきます。

序盤・中盤・終盤の試合の展開

選手は基本的には、KOを狙うのではなくすべてのラウンドを闘う前提で試合を展開します。その流れの中で、チャンスが来たらKOを狙うこともありますが、序盤・中盤・終盤の一般的な選手の状態を押さえておくと、その時の展開の予想の助けになるかと思います。

序盤(1~4R)

お互いスタミナに余裕があるが、緊張や相手の未知な部分が多いため動きが硬かったりファーストパンチでダウンする場合がある。自分の体をほぐしながら、牽制をしてお互いをさぐり合うことが多い。第1Rは選手のコンディションやファイトスタイルを把握する最も重要なラウンドです。

中盤(5~8R)

お互い動きが本来の自分の動きに近づいてくる。実力に差があるとこの先にKOが予想できるようになる。劣勢な方は大胆な作戦変更をしてくる場合も考えられる。

終盤(9~12R)

お互いに消耗し、頭ではなくハートで闘っている状態。考える余裕がなくなると練習で培ったこしか出せなくなるため、日ごろの努力の差が出てきてます。この段階になるとセコンドの指示は具体的なものではなく、「息子が応援しているぞ」とか「チャンピオンになるぞ」など精神を奮い立たせるような言葉になると思われます。

反則から読み取れる選手の心理状態

スポーツにおいて当然反則行為はご法度です。しかしプロの選手は、相手に反則をされることも想定して、日々練習をしているものです。それゆえ、反則からも選手の心理状態が分かることがあります。

意図せずやってしまったのか、しめしめと思ってやっているのか、はたまた必死で狙いに行っているのかを見分けることで、選手の不器用さ、狡猾さ、(作戦にまで盛り込んでいる)老獪さなどを感じとることができるため、一概に「卑怯だ」と言って片付けるわけにはいきません。

拳以外での加撃

ボクシングは拳のみで戦うスポーツですが、厳密には拳の全面の部分(ナックル)のみ当ててよい場所になります。拳の中でも裏拳、掌のでの攻撃(オープンブロー)、拳の側面(チョップ)は反則になります。

トランクスのベルトラインより下への加撃

ボクサーはにベルトラインより下を打つと反則になります。代表的なものにローブロー(急所打ち)があり、ダメージが大きい場合は試合が止まることもあります。ボディブローを打とうとして当たってしまうことがありますが、2度目以降はわざとやってるのではという目で見る必要があります。

後頭部への加撃(ラビットパンチ)

後頭部への加撃は、後遺症を伴う重大な事故につながる危険があるので禁止されています。わざとやった場合はかなり悪質な反則になります。

腕を押さえる(ホールディング)

相手の腕を自分の手または腕で抑え込んで使えなくする反則です。レフェリーが見ている反対側の腕をホールディングすることが映像などで見られることがあります。

意図的なバッティング(頭突き)、足を踏む

ボクシングでは意図的でないバッティングや足を踏んでしまうシーンはよくありますが、明らかに意図的と判断された場合は減点されることがあります。しかし故意か偶然かを判断するのが難しい反則の一つです。バッティングされた方は当然とても痛いのですが、してしまった方もかなり痛いと思います。

ルールまとめ

いかがでしたでしょうか?ルールから読み取れる、選手の想いも解説に盛り込んでみました。

勝敗・階級・試合時間(ラウンド数)などを加味してボクシングを見る上で参考にしていただけたら嬉しいです。

ではまた!

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